特許申請ノウハウ

Know-how

いきなりステーキのビジネスモデル特許

  1. 立ち食いステーキで人気の「いきなりステーキ」、今では行列のできるお店になっています。

2月にはニューヨークにも出店するなど絶好調です。

このような「いきなりステーキ」での肉の提供のシステム、実は、特許になっていたことをご存じでしょうか。

「いきなりステーキ」の特許は一度拒絶されていた

特許出願の内容ですが、当初は、以下のようになっていました。

①お客様を立食形式のテーブルに案内するステップと、

②お客様からステーキの量を伺うステップと、

③伺ったステーキの量を肉のブロックからカットするステップと、

④カットした肉を焼くステップと、

⑤焼いた肉をお客様のテーブルまで運ぶステップと、を含むステーキの提供方法。

こちらの内容ですが、「お客様から伺った量のステーキを立食形式のテーブルに運ぶ」というものですが、一度は、審査官によって拒絶されています。

拒絶された理由は、「ステーキを提供する手順という人為的取り決めを示すものであり、自然法則を利用しているものではない」

というものでした。

審査官が何を言っているのかというと、上記①~⑤は人間が行う手順で、その手順そのもの、また、それぞれの手順をどの順番で行うかというのは、人間が単に取り決めたものであるから「自然法則を利用したものに」該当しないということです。

自然法則とは、人間が経験的に自然の中から見出した法則を意味し、人間が人為的に取り決めた手順などは自然法則には該当しないこととなっています。

つまり、自然法則(万有引力の法則や、オームの法則)を利用しない、人手によるものは、日本では特許としては認められていないのです。

拒絶理由をどのように解消したのか

いきなりステーキの出願ですが、一度は拒絶されるものの、出願内容を修正することで最終的には特許になります。

どのように修正すれば「自然法則を利用したもの」に該当するようになり、一般的には、上記拒絶を解消できるか想像がつかないとは思います。

修正した内容ですが、人手ではなく、物によって、発明の目的が達成できるという見せ方にすることで、特許になりました。

具体的には、

①お客様を立食形式のテーブルに案内するステップを達成するための「お客様を案内したテーブルと対応する「テーブル番号が記載された札」と、

②お客様からステーキの量を伺うステップと対応する「お客様の要望に応じてカットした肉を計量する計量機」と、

⑤焼いた肉をお客様のテーブルまで運ぶステップを達成するための「お客様の要望に応じてカットした肉を他のお客様のものと区別する印し」と、

を発明の構成とすることで、人手ではなく、物によって、発明が達成できるという見せ方にすることで特許になりました。

このように、物によって、発明の目的(効果を得られる)という見せ方をすることで、ステーキを提供できるという一見人為的な取り決めに見えるものであっても特許にできるという好例です。

さいごに

その後、いきなりステーキを運営するペッパーフードは特許が取れたことをプレスリリースしました。

このニュースは様々なメディアに大々的に取り上げられ、結果的にいきなりステーキの周知に大きな役割を果たしました。

このように、特許を取ることで、市場を独占するというだけではなく、ブランドの向上や、サービスの信用度の向上、広告の面でも大きな威力を発揮します。