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との思いで、協会を立ち上げたいという方が増加しています。
今回は、「安定して協会の運営を継続させたい」という方向けに、協会の運営に際して取るべき商標の対象について解説します。
まず、商標として取るべき対象としては、1.協会名と、2.発行する資格の名称です。
1.協会名について
1-1.協会名について商標権を取得しないことによるリスク
まずは、協会名の商標権取得を検討することが必要です。その理由は、同じような名前の協会名が乱立しやすいという実情があります。
仮に、他人にその協会名について商標権を取られてしまっていたなら、その名称を使うことは諦めなければなりません。そのまま使っていたら、ある日突然、使用中止を求める警告状が送られてきた、ということになりかねないからです。
また、商標権を取得せずに協会を運営していたら、後から他人に商標権を取られて使えなくなったという事態もなり得ます。
1-2.すぐに申請すべき協会の名称について
例えば、日本ネイリスト協会という名称については、すでに特定非営利活動法人日本ネイリスト協会によって、3件、商標権を取得されています。
- 日本ネイリスト協会(登録4429439 第41類)
- jna/Japan Nailist Association(登録5620838 第41類 第42類 パターン1のロゴ)
- jnaa/Japan Nailist Association(登録5798370 第41類 第42類 パターン2のロゴ)
「日本ネイリスト協会」「jna」については商標権が取得されているため、これらの商標は、原則、商標権者以外は使うことはできません。
さて、「日本ネイリスト協会」という名称を見た方はどのように感じるでしょうか。
ネイルの分野において日本で権威がある団体という印象を持つ方が多いのではないでしょうか。
その理由は、日本+ネイリスト(一般用語)+協会という用語のみから構成されているからです。
通常、一般用語のみからなる商標は、「誰もが使用したがるため一個人に権利を与えるべきではない」という理由から商標権を取得できません。
例えば、「ネイリスト」という用語のみでは商標権の取得はできません。
しかし、一般用語であっても語尾に「協会」という文字を付加すれば、全体として商標登録を受けることができるという実態があります。
このような名称は、日本で第一人者、権威であるという印象を与えることができます。
例えば、「ITコンシェルジュ」は一般名称として拒絶されています。しかし、「協会」をつけた「ITコンシェルジュ協会」は登録されています。
こういった「一般用語+協会」の商標は多くの方がその名称を使用したがる傾向にあります。そのため、早い者勝ちという側面もあります。
2.発行する資格の名称について
協会によっては、資格を発行したり、認定講師を養成するケースがあります。
その場合、資格の名称や、認定講師の名称について商標権を取得しておくことが重要です。
仮に、それらの名称について他人に商標を取られてしまうと、その名称を使うことができなくなってしまうからです。
そうなってしまうと、せっかく協会に資格を認定してもらった協会員が認定講師の名称を名乗れなくなるという事態にもなりかねません。
その場合、協会員に多大なる迷惑をかけてしまうことになり、協会自体の信用の失墜という事態に発展してしまいます。
キャッチーな名称ほど競合によって取られてしまいやすいという実情もあります。
また、同じような資格が多く存在しているという実態もあります。
3.まとめ
協会名、資格名をしっかりと商標登録することで、ネーミングに関するトラブルに巻き込まれるリスクをなくすることができ、安定した運営が可能になります。
また、協会名については、特許庁の審査に合格しやすいという側面とともに、早いもの勝ちという色彩が強いという実態があります。
今回は、協会に関する商標登録の重要性についてご説明しました。
弊所では、協会・資格名の商標申請をこれまでに多数行ってきた実績があります。
ご不明な点がありましたら、お気軽にご質問を頂ければ幸いです。