特許申請ノウハウ

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この商標は登録できるかな?商標の種類

商標ですが、単に文字だけではなく、様々な種類のものがあり、例えば、くまもんや、はたまた改正法で「ファイトー一発!」の音声まで登録の対象となるようになりました。

商標には、誰が提供している商品・サービスなど識別するための役割があります。そして、商品やサービスを選択するための目印として機能します。
例えば、以下は売り場に陳列されている商品の画像ですが、消費者は、商品のパッケージや、
商標(商品名)を目印にして自分が欲しい商品を購入します。

非常にざっくりとした説明ですが、このような役割があるものであれば、商標の権利として認められる可能性があります。
そのため、商標ですが、単に文字だけではなく、様々な種類のものがあり、例えば、ロゴや、図形のようなものも登録の対象となります。

皆様おなじみの以下の商品については、どの内容について、商標が取得されているかはお分かりでしょうか。全部で3か所あります。

今回の例では、「熱さまシート」のロゴと、子供のキャラクター(通称、熱さま坊や)について登録されています。また、当然ながら、小林製薬の社名についても商標登録されています。

このように、文字だけではなく、様々な対象が、商標登録の対象となりえます。

商標権として、登録可能な商標の種類については、具体的には、

1.文字商標、2.記号商標、3.図形商標、4.文字と図形の組み合わせ、5.文字と記号の組み合わせ、6.立体商標、7.音の商標、8.動きの商標、9.ホログラムの商標、10.色彩のみからなる商標、
11.位置商標などがあります。

それぞれの具体例は以下になります。

1.文字商標

まずは、文字の商標が挙げられます。こちらは、アルファベット・平仮名・片仮名・数字などの文字のみから構成されています。

【登録番号】 第618689号

2.記号商標

次に、記号の商標があります。記号とは、「〇」や「△」などの意味を持った図形やこれらを組み合わせたものを指します。モノグラムや、暖簾記号などが該当し、例えば、下記のように「〇」と「△」とを組み合わせた武田製薬の商標が有名です。

【登録番号】 第54111号

3.図形商標

図形商標は、デザイン化されたものが該当します。キャラクターなども該当します。くまモンの商標などが有名です。他のキャラクターとしては、バーチャルアイドルのキャラクターや、プロスポーツチームのマスコットキャラクターなど分野で取得されることが多いです。くまモンの例のように、ブランド戦略の一環としてご当地キャラで取得されることも多いです。

余談ですが、通常、商標を他人が使用したい場合には、使用料が発生しますが、くまモンに関しては、熊本県のPRに繋がる使用であれば使用料が無料となっています。そして、あえて無料で使用させることで、熊本県の認知度アップにつなげています。

【登録番号】 第5540074号

4.文字と図形の組み合わせ

上述した文字と、図形については、それぞれ単独でなければ権利化が認められないわけではありません。例えば、以下の例のように「Asahi」や「SUPER DRY」の文字と、図形とを組み合わせたものも登録の対象となります。

【登録番号】 第2240846号

5.文字と記号の組み合わせ
こちらも同様に文字と、記号について、それぞれ単独でなければ権利化できないわけではありません。文字と記号との有名な例としては、下記のNIKEのマークがあります。

【登録番号】 第1517133号

6.立体商標

立体的な物体(三次元の物体の形状)であっても商標登録の対象になります。例えば、ペコちゃん人形については、立体商標として登録されています。

【登録番号】 第4157614号

また、以下の例のように、コカ・コーラの瓶の形状も、立体商標として登録されています。どんな瓶の形状であっても、商標登録が認められるわけではありません。あくまで、コカ・コーラの瓶のように、その瓶を見ただけで、ザ コカ・コーラ カンパニーの商品であることが、ユーザに想起される場合に、登録が認められます。

【登録番号】 第5225619号

7.音の商標

音の商標については、昔は商標の対象外でしたが、平成27年の4月から登録の対象として認められるようになりました。音の商標であっても、商品・サービスの提供者を想起できるケースもあるからです。また、企業のブランド戦略上、重要な役割を果たすケースも増加してきていると言えます。

8.動きの商標

文字や図形が時間の経過とともに変化する商標も、平成27年の4月から登録の対象となりました。例えば、レンタルしたDVDなどで最初に流れる、下記の動画などが登録になっています。
動きの商標についても、それ自体に、ブランド価値があり、動き全体から生じる、企業イメージなどを守りたい場合に有効です。

9.ホログラムの商標

文字や図形等がホログラフィーよって、見る角度によって変化する商標も商標登録の対象となっています。

10.色彩のみからなる商標

単色または、複数の色彩の組み合わせのみからなる商標についても対象となります。これらは、あくまで色彩のみからなり、図形や文字などを含むものは、こちらには該当しません。下記の例のように、色彩を組み合わせただけのものであっても、商品の提供者がイメージできるケースがあるため、そのブランド価値を守るために、平成27年の4月から新たに商標登録の対象として追加されました。

                      

11.位置商標

文字や図形等の標章を商品等に付す位置が特定される商標も登録の対象となっています。以下の例は、IBM社のキーボードになります。中央付近に赤い色のボタンがあるキーボードについては、IBM社の製品を想起するため、位置商標として米国で登録になっています。

             

今回は、様々な種類の商標について、ご紹介させて頂きました。企業のブランドを識別するための要素は多種多様です。
商標は、本質としては、企業に蓄積されたブランド価値を守るためのものであり、その目的と達成するために、様々な種類の商標に対する登録が認められています。

ブランド戦略とともに、これらの取得についても、一度、ご検討頂ければ幸いです。