人工知能(AI)を利用した発明に関する特許出願のご相談が増えてきております。
ただ、人工知能(AI)は技術的に新しい分野ですので、特許が取れる発明になっているのかどうかということについて、自信がない方が多いように見受けられます。
そこで、人工知能(AI)を用いた主な発明の形態をまとめました。
人工知能(AI)の学習方法の特許
人工知能(AI)になんらかの情報処理をさせる前に、通常はまずは人工知能(AI)になんらかのデータを学習をさせるところからはじまると思います。
いわゆる「機械学習」ですね。
学習させるデータは、テキスト、画像、音などいろいろな場合があります。
このようなデータを大量に人工知能(AI)に学習させることを「ディープラーニング」と呼んでおります。
「ディープラーニング」の手法としては、例えば、敵対的生成ネットワーク(GAN)などがよく知られています。
この辺りの学習の方法に、なんらかの新規性があれば、それは「学習方法」の発明として、特許を取得できる可能性があります。
ただし、このような発明、専門用語で言うと「単純方法の発明」に該当します。
一般的なソフトウェアの特許明細書と比べると、書き方が少し異なっていますので、できれば慣れている弁理士に依頼するのが良いかと思います。
学習方法の分野は、人工知能(AI)に関するかなり基礎的な部分の発明になりますので、大学や研究機関が発明して特許出願していることが多いです。
学習方法の特許は、基礎研究の部分になりますので、その後、実用的に用いられるかどうかは不透明な面がありますが、
もし、一般的に広く使われる学習方法になった場合には、特許のライセンス収入は莫大なものになると予想されます。
学習後の人工知能(AI)を働かせる情報処理方法やビジネスモデルの特許
人工知能(AI)に機械学習をさせますと、なんらかの情報処理を高い精度で行うことができるようになります。
代表的な分野としては、テキスト認識、画像認識、音声認識などになります。
これらの情報処理方法の特許や、このような情報処理方法を利用したビジネスモデルを特許化することもできます。
一般的に人工知能(AI)の特許というと、こちらの情報処理方法の特許が多いように思います。
特許出願書類の作成においては、人工知能(AI)を用いた情報処理方法の特許のみを取る場合に、
通常のソフトウェアの明細書などと、書き方においてあまり大きくは相違しません。
一般的なソフトウェアの明細書作成に慣れている弁理士であれば、十分対応できると思います。
人工知能(AI)を利用した特許明細書の作成方法
ここまで、人工知能(AI)を利用した発明の2つの特許の形態をご紹介しました。
2つの形態があるとご紹介したので、特許出願も別々に2件行う必要があるのかと思う方がいらっしゃるかもしれませんが、そうではありません。
人工知能(AI)の学習方法と、学習後の人工知能(AI)を利用した情報処理方法は、1度の特許出願で、両方ともまとめて特許化を目指すことができます。
したがいまして、コスト面から考えて、人工知能(AI)の特許の取得を目指す場合には、多少ダメ元でも良いので、この2つの発明を1つの特許出願に両方とも入れ込んでしまうのがおすすめです。
この2つの発明を1つの特許出願に入れ込むということに関しては、人工知能(AI)の技術分野に独特の特許明細書の作成方法になります。
そのため、やはりある程度この分野に慣れている弁理士に依頼するのが良いかと思います。