特許出願は、途中で代理人を変更したり、解任したり自由にすることができます。
特許出願の中途移管の手続き
日本国内での特許出願
特許における中途移管とは、一般には、出願や特許権の管理を担当する弁理士を変更することを示します。
日本国内においても法令に基づいて手続きを行えば、簡単に別の弁理士に担当を変更することができます。
企業の合併や分割、買収を行う場合や元の弁理士が重大な問題を起こした場合、依頼した弁理士が提供するサービスに不満がある場合など、移管の手続きに踏み切る理由は様々です。
日本で特許出願手続き中に担当する弁理士を移したい場合は、移管先の弁理士に記名押印済みの委任状を提出します。
書類の内容に不備がなければ代理人選任届とともに委任状が特許庁へと提出されて、移管先の新しい弁理士が担当になります。
この時に、元々の弁理士を担当から外したい場合には、別途、代理人辞任届を提出して貰う必要があります。
なお、移管する際に気になる点の一つに手続きにふみきる前までに作成された特許出願関係書類の扱いが挙げられますが、これについては移管先の弁理士の方針に従って用意しましょう。
元の弁理士と特許庁との間で行われたやりとりを示すものから、出願者と元の弁理士との間で作成されたものまで、基本的にはつくられた書類の大半を新しい弁理士に提供することになります。
移管後の手続きに支障をきたすおそれがないように、書類はすべて大切に保管しておきましょう。
PCTなどの外国特許出願
日本国外の国で特許を出願する場合にしばしば利用されるのが、PCT(特許協力条約)に基づく国際出願制度です。
これは、特許を取得しようとしている者が所定の様式の出願書類一式を自国の所轄官庁に提出して受理されれば、全PCT加盟国に特許出願を行ったのと同等の効力をもたせることができるという制度です。
PCT加盟国は2017年6月現在で152ヶ国であるため、この手続きを行えば世界の大多数の国に対して特許を願い出ることができます。
実際の審査は国内移行手続と呼ばれるプロセスを経なければはじまりませんが、国ごとの出願書類を作成して提出しなくても済むため、特許取得を目指している者の多くに利用されています。
PCT国際出願制度においては、新しい弁理士に国際出願手続きを移管させる場合に委任状が必要となりますが、国内移行手続に関する業務だけを移管先に代行させる場合は委任状は不要で、出願番号か公開番号のいずれかを新しい弁理士に知らせるだけで移管に必要が作業が完了します。
国内移行手続をする際にはいくつかの書類を提出しなければなりませんが、これもPCTに関する事務を行っているWIPO(世界知的所有権機関)から取り寄せることができるため、特許出願者が新たに用意しなければならない書類はありません。