特許申請ノウハウ

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商標登録前に選ばなければならない商標の「区分」とは?

商標には、区分という概念があります。
区分とは、特許庁における課金の単位であるとともに、権利範囲を決める上で大きな影響を与えるものです。

必要な区分が漏れると、その区分について、他人に権利を取得されるなどのリスクが発生します。
そのため、商標登録をする上では、非常に重要な概念になります。
また、申請前に、必ず適切な区分を決めなければなりません。
例えば、アパレル関連だけでも候補となる区分が8つあることをご存知でしょうか?
本日は、適切に商標権を取得するために必要な区分について解説させて頂きます。
 

 

商標の「区分」とは?

「区分」とは、商標を使用する対象を分類したものです

区分とは、商標を使用する業務内容を、分類したもので、数字2ケタからなります。
こちらは、

区分は、第1類~第45類までの区分に別れているのですが、商標登録出願を行う際に、その中から自分の業務内容が含まれる区分を選択します。

第1類~第34類までが商品(手で触れるもの)についてのものになります。
また、第35類~第45類までが役務(目に見えないサービス)についてのものになります。

選択できる区分は一つだけではなく、必要に応じて、いくつもの区分を登録することが可能です。

例えば、ITシステム会社であれば、第9類(プログラム、アプリ)と、第42類(プログラムの提供(Saasなど))を選択することが多いです。
また、コンサルや、市場調査、広告配信も行っている会社であれば、第35類を指定することケースもあります。

また、飲食店の場合、第42類(飲食物の提供)は必須になります。
また、飲食店であっても、店で飲食物を提供する以外にも、弁当を販売したり、食べ物をテイクアウトされる場合もあるので、第30類(食料品)の分野を指定するケースもあります。

 

このように、区分を指定すればするほど、権利として取得可能な分類は増加します。
但し、区分を登録すればするほど、その分費用はかかることになるので注意が必要です。そのため、区分を登録する際には費用をよく考えて選ぶ必要があります。

例えば、区分を一つ追加するごとに、申請時に追加で8600円の特許印紙代(実費)が発生致します。
また、登録時には、初回の権利維持期間が5年の場合には16400円追加で発生し、権利維持期間が10年の場合には28200円が追加で発生します。

何も考えずに多くの区分に登録してしまうとそれだけ出費も大きくなります。
特に、権利維持に必要なランニングコストが大きくなってしまいます。
また、自分の行っている業務内容と関連のないものを登録しても意味はありません。

自分の業務内容や業態に合わせた物をきちんと登録する事により効果を発揮することが出来ると言えます。
また、予算に余裕がない場合には、最も重要(例えば、売上が大きい)なものを優先して申請することが重要になります。

 

例えば、アパレル用品を販売している方であれば衣類品の25類だけではなく、衣類以外にも扱い場ある場合には他の区分にも登録する必要があるので注意が必要です。

具体的には、下記の区分が候補になります。

  【第9類】
  【指定商品(指定役務)】眼鏡,サングラス
  【第14類】
  【指定商品(指定役務)】貴金属,キーホルダー,身飾品,時計
  【第18類】
  【指定商品(指定役務)】かばん類,袋物,財布,カード入れ,傘,つえ,ステッキ
  【第24類】
  【指定商品(指定役務)】タオル,ハンカチ,その他の布製身の回り品,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布,織物製テーブルナプキン,ふきん,のぼり及び旗(紙製のものを除く。),織物製椅子カバー,織物製壁掛け,カーテン,テーブル掛け,どん帳,織物製のティッシュケース用カバー,布製ティッシュペーパーカバー
  【第26類】
  【指定商品(指定役務)】腕止め,衣服用ハックル,衣服用バッジ(貴金属製のものを除く。),頭飾品,リボン,被服用アクセサリー
  【第35類】
【指定商品(指定役務)】 被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供
  【第40類】
  【指定商品(指定役務)】布地・被服又は毛皮の加工処理(乾燥処理
を含む。),織物の仕上げ加工,裁縫,被服の寸法直し,洋服の仕立て,受託による被服の装飾加工

上述したように、取扱をする商品のカテゴリーが多ければ多いほど、多くの区分を利用する必要がある為、費用も比例して大きくなります。
とても、すべてを指定することができないというケースもあるため、その場合は、優先順位付けが重要になります。

 

商品のカテゴリーが少なければ、1つの区分だけで良いので商売をする時にも費用を抑えることができるので安心です。

これらの内訳に関しての詳しい内容は特許庁のホームページや本でも確認することが出来ます。

きちんと区分を選択しないと意味がありませんし、似たような物も多いので登録をする前には必ず目を通して置く必要があります。

確認をせずに登録をしてしまうと無駄に費用を支払うことにもなりますので、必ず確認作業が必要です。

一人で確認作業をするとミスが出てくることもありますので、他の人にも確認をしてもらう二重チェックすると安心です。

また、同業他社がどのような区分を指定して申請しているのかを、参考にするのも非常に有効です。

 

 

区分の広さは、権利範囲の広さになります

区分の広さとは、権利範囲の広さとも言いかえることが出来ます。

また権利範囲を広くするためには多くの区分に登録をする必要があり、それだけ費用の高さにも繋がります。

区分を広くすれば広くするほど、独占権を得ることは出来ますがその分大量の印紙代がかかってしまうので、区分を広くすることはメリットがあるだけではなく、費用が高くなるデメリットも考える必要があるので注意が必要です。

 

この為、権利範囲の広さを求めて、多くの区分に登録をするのではなく、自分の業務内容に合わせて必ず必要となる部分だけを先に登録することが大切になります。

上述したように、基本的に費用は登録する倍数で増えていくことになりますので、商標登録をする時にはどれだけの費用がかかるのかチェックしておくと安心です。

費用を先に確認しておくと余分な区分を抑える心配も無くなります。

どれほどの費用がかかるのかわからない状態で登録する手続きをすると予想以上に費用が掛かってしまうため注意が必要です。

確かに区分を登録すればするほど、権利範囲も広くなるので、様々な事に利用することが出来ます。

その広さが自分の行っている業務内容にあっている物であれば問題はありませんが、まだその業務を行うかどうかわからない区分に関しても登録を行うことはデメリットにも繋がりますので注意が必要です。

 

実際に既に業務内容として行ってる物だけを登録しておくと実務にあった物になりますので、余計な費用を払うこともなくなります。

まだこの先どうなるかわからない分野の区分を登録しておいても余計な費用を支払うだけになってしまい、出費だけで多くなるため、おすすめすることは出来ません。

必ず自分の行っている事業にそった物を登録して下さい。