ちょっと待った!
無事、特許査定となり、1年から3年までの登録料を収めると設定登録されます。その後、しばらくすると、特許掲載公報に掲載されます。これで一安心と思いきや、特許掲載公報の発行日から6月以内の間は、何人も異議申立をできることとなっています。すなわち、特許になっても「ちょっと待った!」ということが可能なのです。
昔話
随分昔の話ですが、特許付与前の異議申立制度がありました。外国においてもこのような制度が設けられており、制度の国際的調和の観点から制定された制度です。しかし、よく考えてみると、特許になった後に、利害関係人であれば無効審判を請求できるので、特許付与前の異議申立制度必要ないとの意見が出て、廃止となりました。
特許異議申立
しかし、平成26年法改正において、簡易に申し立てできる制度として、特許付与後の異議申立制度として復活しました。特徴としては、全件書面審理として、当事者の対応負担を低くし、また何人も申立てできることとして、利用しやすい制度とされました。また、異議申立理由としては、公益的な理由に限定されています。これは、権利帰属等に関係する問題は、当時者間の紛争解決を主目的とする無効審判で争うことが望ましいからです。
無効審判との相違点をまとめますと、以下のようになります。
特許異議申立 | 特許無効審判 | |
制度趣旨 | 特許の早期安定化を図る | 特許の有効性に関する当事者間の紛争解決手段 |
適格人 | 何人(匿名は、不可) | 利害関係人のみ |
時期 | 公報発行日から6月以内 | 設定登録後いつでも |
理由 | 公益的理由 | 公益的理由、権利帰属、後発的理由 |
審理方式 | 書面審理 | 口頭審理 |
料金 | 安価 | 高価 |
現状
異議申立は、制度設立以来一定数の申立てがあり、全体の約3割が維持(訂正なし)、全体の半数が維持(訂正あり)、残りは却下等です。詳細につきましては、特許庁のHPをご覧ください。