特許申請ノウハウ

Know-how

プログラム特許

気候のシミュレーション・モデル

2021年ノーベル物理学賞は、アメリカ・プリンストン大学上席研究員の真鍋淑郎さんが他の研究者と共同受賞しました。日本人としては、嬉しく、誇らしいです。

授賞理由は、地球の気候を物理的にモデル化し、変動を定量化して地球温暖化を確実に予測したことされています。気象学の分野において先駆的な業績を成し遂げたことが認められたのかと思います。

なぜ物理学賞なのか?

なぜ物理学賞の受賞となったかというと、物理学の一分野には、複雑系という分野があり、今回の真鍋さんの仕事は、複雑系に属すると考えられ、今回のノーベル物理学賞に至ったと考えられます。

真鍋さんの業績は、コンピュータによる気候のシミュレーション・モデルを開発し、それを用いて気候の成り立ちと変動を解明したということです。

プログラムも発明か!?

上記のコンピュータによる気候のシミュレーション・モデルを特許の観点から見ますと、気候のシミュレーションの方法は、方法の発明に該当すると考えられます。

また、シミュレーションを実際に行うコンピュータは、物の発明に該当すると考えられます。

さらに、シミュレーションを実行するためのコンピュータ・プログラムも物の発明に該当すると考えられます。

プログラム特許

なぜかと言いますと、特許法第2条3項1号では、「物(プログラム等を含む。以下同じ。)の発明にあっては、・・・」とプログラム等がものに含まれることが明確に規定されています。

また、特許法第2条4項では、「プログラム等とは、プログラム(電子計算機に対する指令であって、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。以下この項において同じ。)その他電子計算機による処理の用に供する情報であって、プログラムに準ずるものいう」と規定されています。

プログラム特許の審査

ただし、実際の特許庁の審査において、コンピュータ・プログラムが特許法上の「発明」として認められるためには、「ソフトウエアによる情報処理が、ハードウエア資源を用いて具体的に実現されている」ことが必要となります。

よって、特許請求の範囲には、そのコンピュータ・プログラムによる情報処理が、ハードウエア資源(CPUやメモリ等)を用いてどのように実現されるのかを、明確に記載する必要があります。