特許申請ノウハウ
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使っていない商標をどうする?不使用取消審の話

第87回のテーマは

「使っていない商標をどうする?不使用取消審の話」です。

 

 

先週は「使っていなくても商標は登録できるのか」というテーマでしたが、今回はその続きとして、使われていない商標を取り消す仕組みについてのお話です。日本の商標制度では、実際にまだ使っていない商標でも登録することはできます。

ただし、ずっと使われないまま権利だけが残ってしまうと、後から本当に使いたい人が登録できなくなることがあります。そこで設けられているのが、「不使用取消審判」という制度です。

そもそも商標というのは、ロゴや名前そのものを守るというよりも、それを見たお客様が感じる信用を守る仕組みです。あのマークなら安心できる、あの会社なら大丈夫そうだ、という信頼が積み重なっていくことで商標の価値が生まれます。

ところが長い間使われていない商標というのは、その信用が中身のない入れ物のような状態になってしまいます。そうした状態のまま権利だけが残っていると、新しく商標を使おうとする人の妨げになってしまうことがあります。

実務でも、商標調査をしていると「この登録が邪魔して出願できない」というケースがあります。

ただよく調べてみると、どうも実際には使われていなさそうだということもあります。そういう場合には、不使用取消審判を検討することがあります。もしその商標が取り消されれば、新しい商標を登録できる可能性が出てくるからです。

ただし、この制度には条件があります。法律では、継続して3年以上その商標が使われていない場合に取消の対象になるとされています。

 

例えば登録されたばかりの商標や、まだ1、2年しか経っていない商標については、この制度を使うことはできません。3年以上使われていないと考えられる場合に初めて検討できる仕組みになっています。

 

もう1つ面白い点は、この不使用取消審判は誰でも請求できるということです。実際にその商標を使いたい人でなくても請求は可能です。ただし当然ながら費用はかかります。特許庁の費用だけでも55,000円ほどかかり、取り消したい区分が増えるとその分さらに費用が加算されます。そのため、実際には「邪魔している商標を取り消したい」という具体的な目的があるときに利用されることが多い制度です。

 

もし自分の登録商標に対して取消審判が請求された場合には、「実際に使っている」という証明を出す必要があります。

広告、商品の販売実績、パンフレットなど、商標が使われていることを示す資料を提出して反論します。

ただし、このとき必ずしも登録された形とまったく同じである必要はありません。例えばアルファベットの商標をカタカナ表記で使っている場合や、ロゴの色だけが違う場合など、社会通念上同じ商標だと理解される範囲であれば使用と認められることもあります。

実務では、こうした事情も踏まえて「一番よく使う形で出願しておく」というアドバイスをすることもあります。アルファベットもカタカナも色違いも全部登録するとなると費用がかかりますし、審査の手間も増えてしまいます。

実際の使い方を考えて、最も基本になる形で登録しておくのがコスト面でも合理的なケースが多いです。

 

さて、ここからは恒例の音の商標のコーナーです。

 

【伊東園ホテルズ】

 

「いい湯かげん、旅かげん、伊東園ホテルズ」

寒い季節には温泉や旅行を思い出させるようなフレーズで、思わずゆっくりお風呂に入りたくなるような響きですね。

商標というのは文字やロゴだけではなく、こうした音でもブランドを印象づけることができるという好例だと思います。

今回と前回で、使っていない商標に関する制度についてお話ししてきましたが、このテーマはもう少し続きます。

 

次回もぜひお楽しみに!

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