「自社の技術なんて大したことない」と考えている社員に、自信をもってもらいたい社長様へお伝えしたいこと。

わたしは大学院卒業後、開発部や知的財産部で多くの開発者と接した。
そこで気が付いたのは、
開発者は、「自分自身が考え出したモノは大したことがない」と考えがちだということ。
みんな、「こんな簡単なアイディア・製品は特許にならないのでは?」と思い込んでいた。

私が勤務したメーカーで実際に起きた出来事

当時在籍していたカーナビメーカーは、大手自動車メーカーの下請けだった。
元請けメーカーからは、
無理な納期・突然の製品の仕様変更・値下げ要求が当たり前のように行われる状況・・・。
社員は必死に働き、会社も一本のネジを1銭でも安くするために血が滲むような努力をして、数億円の利益を捻出していた。
けれど、利益の10倍以上、金額にして40億円以上の特許使用料を他社に支払わねばならなかった。

弁理士を志した理由は、
本来の実力が正当に評価されない、頑張りが報われない下請け企業の現状を変えたい
という気持ちがあったからである。

そのメーカーは、今や業界の標準にまでなった、新技術を搭載した機器を最初に作った。
にもかかわらず、特許を取得していなかった。
その後、色んな会社がこの機器を作り始め、一般的に普及することになり、
今や、この技術は、スマートフォンにも使用されている。

仮に特許を取得していれば、、、
ライセンス料だけで、年間数十億円の利益を上げられていた。
特許侵害で訴えられることもなく、安心して、リソースをすべて事業に注ぎこむことができた。

ではなぜ特許権を取得しなかったのか?

あとで聞いたところ、
「こんなシンプルな製品で特許が取れるわけがない」と思ったから、というのだ。
開発者は、「自分自身が考え出したモノは大したことがない」と考えていた。

ここまで読んでくださった方の中には、
同じような思いを持っていそうな社員を思い浮かべた方もおられるかもしれない。
その場合は、一度立ち止まり、まずは気軽に、専門家にご相談いただきたい。

もちろん、弁理士は、特許などの知的財産権を取得することで、お金をいただいている。
特許出願を強く勧められることもあるかもしれない。

けれど、わたしは、単に出願件数を増やすのではなく、「利益を増やす」弁理士として活動している。
特許はただやみくもに取得すればよいものではない。
利益を増やしたり、安全に事業を展開するために取得するべきだ。

まず、この発明は特許を取得できるのか。
取得したほうがいいものなのか、しないほうがいいのか。
発明した技術を有効に、そして安全に使って「利益を増やす」にはどうすればよいのか。
お客様と一緒に考えていくのがわたしのスタイルである。

信念は、「特許出願に必要なコストの何倍もの利益を中小企業に出させ、元気な中小企業を1社でも増やす」こと。

そんな想いで日々奔走している。