第56回のテーマは、
「こんな商標はいやだ
(2)識別力がなくて独占させちゃダメ」
です。
識別力というのは、これ私の会社の商標ですよ、
リンゴかじってるマークの携帯、
○○の商標ですよと相手に分かってもらう、
その会社の商標と分かるという要素を指しており、
商標の一番大切な要素となります。

特許庁のマニュアルには、識別力の判断材料として
識別力がない具体例が載っています。
例えば以下の文字商標は原則識別力がないと判断されます。
・数字、
・三角、四角など簡単な図形、
・ローマ字1または2文字
・地名、国名、
・「武蔵」や「相模」など旧地名
・「株式会社」、「Ltd」、「LCC」
また、商品やサービスによって
よく用いられている用語も該当します。
例えば
・インクカートリッジに「純正」「純正品」
・清酒に「正宗」
・ホテルの名称で「観光ホテル」、「リゾートホテル」
また、マニュアルにないものでも
時代によって多用されている
文字なども該当します。最近では
・「DX」
・「SDGs」
など最近ニュースやネットで
よく目にするようになった言葉は、
今は一般名称化しているので
独占に適さないとして登録しにくくなっています。
これは時代により変遷していく傾向があります。
では、この流れで今日の歌う商標シリーズです。
【イシダ】~♫
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/TR/JP-2017-029402/40/ja

「イシダ」も識別力という点では、
一般的な人の苗字で登録が難しいはずですよね。
しかし、3年もかかっていますが、
登録されています。
予想通り、特許庁から一般的名称で
識別力がないと言われていますが、
その際にイシダさんが何をしたか。
この【イシダ】の音商標が長年使われた結果、
その会社の商標として
一般の方に広く知られている、
という証明をしました。
特許庁は、まず最初に提出された書類だけで判断し、
一般的な苗字で識別力がないという通知をします。
これに対し商標を使った結果、
消費者や取引者に広く知られた音商標ですという
主張と証拠資料を提出します。 TVCM、ラジオ、YouTube、で広く
TVCM、ラジオ、YouTube、で広く宣伝しています、
これだけイベントで集客しています
などの資料を提出したと思います。
証明するのは、時間も労力も費用もかかり、
とても大変です。
(別の仕事ですが、大先輩の弁理士の先生が、
この知名度を証明するのに段ボール3箱分の
資料を提出したとそうです。)
商標はブランド名の受け皿としての役割があるので、
商標を申請前に使っていることはこの
「こんな商標は嫌だ」の理由にはならなりません。
逆に広く使用した結果知名度を得ており、
たとえ一般的名称と同一としても、
実際問題として商標に知名度がついているので、
その信用力を守るために登録を
認めて下さいという主張と、説得できるだけの
資料を提出し、3年がかりでやっと
登録できたのだと思います。
出願人も代理人もとても大変だったと思います。
そして弁理士の視点からは、
大変ですがやりがいのある仕事だと思います。
次回以降もこのシリーズは
続いていきますのでお楽しみに。
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