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【保存版】特許申請から取得までの完全攻略マニュアル!

特許申請と出願における攻略ポイントをご存知ですか?

こんにちは。原田国際特許商標事務所の弁理士 原田です。

本ページでは、

「これから特許申請・出願をしたい!」

「特許を活かして、ビジネスの幅を広げたい!」

と考えている方のために、特許申請・出願の攻略ガイドブックとして、
大まかな流れやよくある疑問に加えて、各提出書類の具体的な書き方などを詳細に解説しています。

申請から出願までのマニュアルとして、ぜひ、ご活用くださいませ!

目次

特許申請はどうやるの?

1:特許取得までのおおまかな流れ

特許申請とは、特許を取得する行為のことを指しますが、正式な手続き名称ではありません。

具体的な手続きとしては、特許出願や審査請求、特許料を納付することが必要です。

特許を取得するまでの大まかな流れをまとめましたので、ご覧ください。

特許を取得するためには、まず特許庁に特許出願を行うことがスタートとなります。

まれに、出願を行えばそれで特許を取得できる、と考えておられる方もいらっしゃいますが、
そうではありません。特許出願した発明は、特許庁の審査官による審査を受けなければならず、
審査に合格して初めて特許として認められます。

審査官の審査は、特許出願の手続きをしただけでは開始しません。

出願後に、別途、審査請求の手続きをする必要があります。

仮に審査請求をしないまま出願から3年が経過してしまうと、
出願そのものが自動的に消滅(取り下げ)となってしまいます。

審査請求の手続きをすると、特許庁での審査が行われます。

特許庁では、特許出願した発明が、従来の発明や公知例に対して違いがあるかなどについての
実体審査が行われます。

審査の結果、特許にできると審査官により判断された場合に、特許査定がされます。

一方で、特許にはできないと審査官に判断された場合には、拒絶理由が通知されます。

拒絶理由に対しては、意見書や補正書を提出することで反論が可能であり、
反論が認められると特許査定がされます。

一方で、反論が認められない場合には、拒絶査定がされ、
特許を取得することができません。

拒絶査定がされた場合には、拒絶査定不服審判を提起することで特許性について、
さらに争うことも可能です。

特許査定がされた場合には、特許料を納付することで、晴れて、特許権を取得することができます。

2:特許出願前にすべきこと~特許調査~

特許を出願する前に、まず、出願しようとしている発明について、同じ内容の発明が既に出願されているかを調査する必要があります。
このような調査をする意味は、特許を受ける条件として、「発明が新しいものであること」(新規性)が要求されているからです。
仮に調査をせずに出願をしようとした場合には、そもそも特許にならない発明に対して、膨大な時間とお金を費やしてしまうリスクが高まってしまいます。
実際に、調査をしていれば簡単に見つかっていたかもしれない先行技術があることを理由に、拒絶されるというケースは珍しくありません。

特許の調査は、以下のページから検索をかける方法で行います。

J-PlatPat(特許情報プラットフォーム)
特許・実用新案テキスト検索
URL:https://www7.j-platpat.inpit.go.jp/tkk/tokujitsu/tkkt/TKKT_GM201_Top.action

それでは、初心者でも可能な、極めて簡易な調査方法について、以下、具体的に詳述していきます。

調査をするには、まず、技術範囲についての概念を設定することが大切になります。決定した概念(技術分野の概念)によって、調査する特許分類や、検索キーワードが決まるからです。
例えば、「機器」や「機械」などのように概念が大きすぎたり、抽象的になりすぎると、検索キーワードによってヒットする文献の数が膨大になってしまい、調査が困難になってしまいます。
一方で、概念を絞りすぎてしまうと、調査の漏れが生じてしまいます。そのため、絞り過ぎず、広すぎない適切な概念(技術分野の概念)を設定することがとても大切になります。
特許請求の範囲(下記1.3で解説します)に記載される発明は、広すぎず、絞り過ぎない範囲で、できるだけ発明を上位概念化した形で表現されています。そのため、概念の絞り方としては、特許請求の範囲の内容に基づき決定することが良いと言えます。

まずは、検索項目「要約+請求の範囲」の部分に発明の内容を表す検索キーワードを入力します。検索キーワードとしては、発明の製品のカテゴリーや、発明の構成要素などを入力するとよいでしょう。
例えば、「塵取り」に関する発明の場合には、「要約+請求の範囲」の欄に、「塵取り」と入力します。ここでご注意いただきたいことは、「塵取り」に関する発明は、「ちり取り」と表現される場合もありますし、「チリトリ」と表現される場合もあるということです。そのため、あらゆる変換を試行し、想定される表現をすべて漏れなく洗い出すことが大切になります。「塵取り」「ちり取り」「チリトリ」というすべての洗い出した検索キーワードをスペースで区切って、「要約+請求の範囲」の欄に入力し検索することで、調査の漏れをできるだけ減らすことができるのです。
その後、「検索キーワードで検索」のボタンを押すと、以下のような画面が表示されます。今回の検索キーワードでは検索結果として192件の発明が抽出されました。

ページ下部にある「一覧表示」のボタンを押すと、以下のように、「塵取り」「ちり取り」「チリトリ」を含む発明が一覧で表示されます。文献番号欄に記載されている公開番号順(公開日順)に新しいものから降順に並んでいます。

ここで、192件すべての出願内容を確認するのは大変だな…と感じる方がほとんどではないかと思います。
その場合には、発明の特徴や、効果、目的などを検索キーワードとして別に入力することで、発明の絞り込み検索を行いましょう。検索キーワードとしては、発明の目的を達成するための構造や構成を選定します。
具体例としては、砂と小石とを分別することを目的としている塵取りを調べたい場合、この目的を達成するための構造は、例えば、背面部に孔を設けることなどが想定されます。

(画像は「特開2015-142号」より引用)

それでは、発明の構成として「孔」が空いていること、に関して絞りこみ検索を行ってみます。特許・実用新案テキスト検索画面で、2つ目の検索項目のプルダウンボタンから「要約+請求の範囲」を選択し、発明の内容を表す検索キーワードとして、「孔」「穴」を追加します。「検索キーワードで検索」のボタンを押すと、以下のような画面が表示され、前回192件もヒットした発明が、41件まで絞られました。

検索した結果としてヒットした発明の中を確認して、同一の発明または近い発明がなければ、あなたが新たに出願しようとしている発明は、特許になる可能性があります。
一方で、同一の発明が見つかってしまった場合には、権利化は困難ということになります。その場合は、出願自体を断念するという選択肢も出てきます。
特許の出願書類を準備することは非常に労力を要する作業です。仮に、特許調査を行わないで出願をしてしまった場合には、どんなに時間をかけて手の込んだ申請書類を作成したとしても、同一の発明があることを理由に拒絶されてしまうリスクが高まってしまいます。ですから、特許出願前に先行技術調査を行うことは、まずは出願をするかどうかの判断をする上で、とても大きな意味があるのです。
仮に、特許調査をしても、似た技術が見つからなくても、必ずしも特許になるとは限りません。
例えば、以下の物は、特許の対象外となりますので、その点を留意しなければなりません。
・人為的な取り決め(例えば、社内研修のやりかた、新しいゲームのルールなど)
・自然法則に反するもの(例えば、永久機関)
・自然法則そのもの(例えば、エネルギー保存の法則)
・自然法則には該当しないもの(例えば、数学の方程式、フォークボールの投げ方、プロレスの技、宇宙の真理)
フォークボールの投げ方やプロレスの技が特許の対象にならない理由は、それらについては、再現性がないからです。
例えば、「時速150kmのフォークボールの投げ方」という特許があったとして、同じようにフォークボールを投げることができることができません。再現性がないことから、産業を発達させるという特許法の趣旨からしても特許取得の対象にはできません。

また、人間を手術、治療する方法も権利外となります。例えば、マッサージの方法も特許の対象外となります。こちらは、特許の対象としてしまうと、医師などが施術をする際に、みずからの行為が特許権の侵害に該当するかを検討しなければなってしまうからです。その場合、医療行為の妨げとなってしまい、本来救われるはずだった人命も救われなくってしまったということになりかねません。このようなことが発生することを防止するために、医療行為は特許の対象外となっています。
また、喫煙方法のような、個人的にのみに利用される発明は、産業上利用できない発明であることを理由に特許を受けることができません。

3:弁理士に依頼すべき?自分で出願書類を作成するメリットとデメリット

特許の出願書類さえ作ることができれば、弁理士を介さずに、ご自身で申請をすることも可能です。では、出願書類をご自身で作成することのメリットとデメリットとは何でしょうか。

<自分で出願書類作成をするメリット>
自分で出願書類を作成する一番のメリットは、費用を抑えることができる点です。
特許事務所に依頼した場合、出願書類を作成する費用として、平均で25万円~40万円以上が発生します。書類作成費用は、出願書類のボリュームによって異なってきます。具体的には、出願書類のページ数が増えたり、図面の数が増加するのに伴い、費用が増加するという料金体系をとっている事務所がほとんどです。ですから、出願書類のボリュームによっては、出願書類の作成費用だけで50万円以上の費用が発生することもあります。
ご自身で出願書類を作成する場合には、特許印紙代と電子化手数料のみで、出願手続きを行うことが可能です。特許印紙代については、申請時に14000円が必要となり、電子化手数料については、1万円~3万円発生します。
ただし、電子化手数料は、一般社団法人発明推進協会などに設置されている共同利用端末からオンライン申請を行えば支払う必要はありません。当手数料は、出願書類を紙面で提出した場合に、電子化する必要があるため、請求される費用だからです。各地方都道府県の発明推進協会は、こちらのホームページでご確認いただくことができます(お近くの発明協会に共同利用端末が設置されているかどうか等、詳細は各協会にお問い合わせください。)。

一般社団法人発明推進協会 地域の発明協会
URL:http://www.jiii.or.jp/shibu/

また、他にメリットを挙げるとすれば、発明の内容を一番把握している本人が出願書類を作成できるという点でしょうか。あなたが依頼した弁理士が、新人であったり、その分野に詳しくない場合に、ごく稀ではあると思いますが、自分が想定していた発明とは異なる発明が出願されてしまうというリスクが想定されます。ご自身で作成されることで、このようなことが発生するリスクをほぼゼロにすることが可能でしょう。

<自分で出願書類を作成するデメリット>
自分で出願書類を作成するデメリットは、代表的なものですと四つあります。
まず、一つ目のデメリットは、余程の経験がない限り、その発明を特許にすることができない、ということです。実際に、自分で出願書類を作成した案件(弁理士が代理人についていない案件)のほとんどが、特許にはならずに消滅してしまっています。その理由は、書類の必要要件(ルール)を満たしていないなどの記載の不備や、審査請求後に来る拒絶理由通知への反論がうまくできずに拒絶査定が来てしまうなど実に様々です。拒絶理由への反論については、3で後述していますので、宜しければご一読ください。どれほどの労力がかかる作業なのか、その一端をご理解いただけることかと思います。

二つ目のデメリットは、時間がかかる、ということです。出願書類を初めて作成する場合に、内容の良し悪しは別として、とりあえず必要な項目は満たしている、というレベルのものを作ろうとしたとしても、100時間以上の時間がかかってしまうことがほとんどです。なぜなら、出願書類の記載についての要件(ルール)は数多く存在するため、これら全てを満たす書類を、ひとつひとつ要件を確認しながら作成しなければならないからです。ご存知のとおり、特許の権利は先願主義です。つまり、早い者勝ちです。
電話機を開発したので有名なのは、アレクサンダー・グラハム・ベルです。ベルは特許も取得しています(米国特許174465号)
しかし、実は、ベル以外にも、エリシャ・グレイという方が同じように電話を発明していたことをご存知でしょうか?
このエリシャ・グレイ特許を申請したのが、アレクサンダー・グラハム・ベルと同日の2時間遅れでした。
すばらしい発明をお持ちであっても、迅速に出願しなければ、他者に先に出願され、権利を奪われてしまう可能性が高まってしまいます。書類の作成に膨大な時間をかけて、特許申請そのものが遅れてしまうことは大きなリスクといえます。

三つ目のデメリットは、仮に特許を取得できたとしても、実際に権利として活用できない事態が発生する可能性が高い、という点です。特許の権利範囲は、「特許請求の範囲」に記載された内容によって特定されます。権利範囲を記載するときには、広い目的で抽象的に表現することで、広く権利を獲得し、多くの製品をカバーしようとすることが通常です。しかしながら、特許庁からは「公知例から容易」というような拒絶理由通知が来るなどするため、補正書などで限定的な記載に変えていくことが多いのです。そうすると、おのずと、権利範囲が狭まってしまうため、他者が特許に引っかからないように工夫をして模倣し、特許には抵触していないと主張することを許してしまうことにもなりかねません。ですから、権利範囲を適切に表現するには、他者が似たようなものを作ろうとしたときに、特許技術を避けて通れないようにする回避困難性や、特許を侵害している、と他者に対して容易に主張できるような立証容易性など、様々な事項を考慮しなければならないのです。そうでなければ、費用と時間をかけて取得した特許も、十分な効力を発揮できず、簡単に他者に真似をされたり、無効を主張されたりしてしまうのです。

四つ目のデメリットは、自分で期限管理をしなければならない、ということです。先述しましたが、特許は出願申請を行いさえすれば手続きが完了する、というわけではありません。特許が実際に登録されるまでには、出願申請から3年以内に審査請求を行う必要があります(審査請求をしないと特許は登録されず、公知の内容として将来的に保護の対象にもなりません。)。また、拒絶理由の応答期間(拒絶理由が通知されてから60日以内に回答する必要があります。)や、特許料の納付期限(特許査定謄本送達から30日以内に納付する必要があります。)など、期限のある必要手続きが数多くあります。また、無事に特許が登録され、特許権を取得した後も、定期的に権利を延長するための手続きが必要になります。これらを全て、自分で管理しなければなりません。特許事務所に出願を依頼した場合には、特許登録までの期限管理は全て代行してくれます(事務所によっては、登録後の期限管理を行うサービスを提供しているところもありますので、確認してみてください。)。

以上、自分で出願書類を作成することのメリットとデメリットを大まかにご説明しました。特許にしたい発明や、自分の業務、マンパワーなどを考慮した上で、自分で特許出願を行うか、特許事務所に依頼するかをご判断いただく材料になれば嬉しく思います。

4:自分に合った特許事務所を見つける方法

日本には、約3500の特許事務所が存在します(弁理士白書 2014年度版より)。その中から、ご自身に合う特許事務所を見つける方法として、こんな風にインターネットを活用してみてはいかがでしょうか。
検索するワードは、「特許」のほかに、都道府県名や分野の名称などで絞りこむことが容易かと思います。では、ヒットした各事務所のホームページをどのように見ていけばよいのでしょうか。私は、そのホームページがメインで打ち出している内容や、ブログなどを参考にすることをおススメしています。
そのホームページがメインで、一番強く打ち出しているメッセージは何かを注意深く見ていくと、どんな業者なのかその一端を知ることができます。例えば、どんな発明であっても、ただ事務的に、依頼されるがまま出願書類を作成するような業者なのか、それとも、時間をかけてヒアリングし、特許にすることで将来的に顧客の利益につながるかどうかを一緒に考え、事業を成長させることを重視している業者なのか。特許と事業内容とは切っても切り離せない関係にあります。そのため、顧客の事業内容を理解する姿勢を持っている業者の方が、利益を生む権利を取得するための姿勢を持っていると言えます。
ブログでは、顧客目線の記事ではなく、自分よがりの記事ばかり書いている事務所の場合、「あまり人の話を聞かない」「自分が話したいことばかりを話す」弁理士が書いているのかな、個人的には感じてしまいます。ブログの読者に、より良い情報を提供しようという姿勢が見える事務所は、より顧客のことを親身になって考えてくれるかもしれません。
また、インターネットのほかには、知り合いから紹介してもらう方法もあります。紹介というものは、紹介する側もリスクを伴うものです(適当な方を紹介しなければ、紹介した人の信頼も失われてしまうからです。)。そういった意味で、しっかりした方を紹介していただけるということが多い傾向にあると思います。その場合にも、ホームページやブログは一度確認しておくと良いかと思います。
特許事務所に依頼する場合には、もし試作品があるのなら理想的です。試作品を前に弁理士と打ち合わせをすることで、発明の内容を正確に理解してもらえる可能性が高まります。
一方で、試作品がなくても特許事務所への依頼は可能です。その場合、製品のパンフレットやプレゼンテーションの資料などを交えて、弁理士に説明することが可能です。
もし、製品のパンフレットなどがない場合も、ラフな図面などを用いて説明することが可能です。

特許を出願するには?

1:出願書類とはどんな書類?

特許を出願するには、以下の①~⑤の5つの書類が必要です(④の図面がない場合もあります。)。
弁理士に出願書類の作成を依頼するにしても、出願明細書の構成がどのようなものであるかを理解して依頼をすることが大切です。

① 願書
② 明細書
③ 請求の範囲
④ 図面
⑤ 要約書
それぞれの書類についての内容や記載方法については、下記1.2以降で詳細にご説明していきます。

2:願書の記載方法

願書は出願書類の顔にあたるもので、決められた書式のとおりに記載する必要があります。

【書類名】  特許願
【整理番号】 ××××××
【提出日】  平成 年 月 日
【あて先】  特許庁長官 殿
【国際特許分類】 ××××□□×/××
【発明者】
【住所又は居所】 ××県××××××
【氏名】 ××× ×××
【特許出願人】
【識別番号】 ×××××××××
【住所又は居所】 ××県×××
【氏名又は名称】 ××××××株式会社
【代表者】 ○○ △△ ㊞
【提出物件の目録】
【物件名】  明細書 1
【物件名】  特許請求の範囲 1
【物件名】  要約書 1
【物件名】  図面 1

まず、【整理番号】の欄には、会社で管理する番号を記載します。こちらの番号は、出願人が任意に採番できます。また、任意に採番したものを記載することになります。

【識別番号】の欄については、初めて出願する場合には、記載する必要はありません。二度目以降の出願の場合、初めて出願した後に特許庁から郵送されている識別番号を記載します。書留におって提出すれば、

【提出日】 には、特許庁の窓口に直接提出する場合には、提出する日を記載します。消印が不明な場合には、特許庁に郵便物が届いた日が出願日となってしまします。そのため、特許庁の窓口に郵送する場合は、投函する日を記載します。
消印が不明な場合であっても、後日、出願日証明書提出書に書留郵便物受領証を添付して提出すれば、郵便局に投函した日が出願日に訂正されるというメリットがあります

【発明者】についての【住所又は居所】の欄には発明者の住所を記載ます。例えば、発明者の自宅の住所などを記載します。また、発明者が個人事業主の場合には、働いている場所(事務所)などを記載します。
住所については、○○号まですべてを具体的に漏れなく記載します。住所が外国にある場合には、○○国、○○州、○○市など、現地の行政区画の順番に、カタカナ文字で記載します。こちらを記載する際には、googleマップなどで、現地の行政機関と原語表記を確認しながら記載すると比較的スムーズです。

【発明者】についての【氏名】の欄には、発明者の氏名を記載します。なお、発明者が自然人(人間)でなくてはなりません。そのため、発明者の【氏名】の欄に法人や、団体名などを記載することは認められません。

【特許出願人】についての【住所又は居所】の欄には、特許出願人の住所を記載します。出願人が法人の場合は、法人の所在地を記載します。一方、出願人が個人の場合は、自宅の住所を記載します。個人事業主の場合には、働いている場所(事務所)の所在地を記載します。
住所に「無番地」という文字が含まれる場合も、省略せずに「無番地」と記載しなければなりません。法人の住所については、必ず本店の住所を記載しなければなりません。

【特許出願人】についての【氏名又は名称】の欄には、特許出願人の名称を記載します。出願人が法人の場合には、法人の名称を記載します。一方、出願人が個人の場合には、個人の氏名を記載します。
出願人が法人の場合、大学のサークル名など、登記されていないものは、基本的には認められません。店の名前(○○商店や、○○飯店)なども当然認められません。認められているのは、株式会社、合同会社、有限会社、一般社団法人などです。

出願人が外国人の場合には、日本国民と同一の条件で特許権の享受を認めている国の国民などでなければ、出願人となれません。

また、未成年者や成年被後見人の場合、原則、法定代理人(両親など)でなければ手続きができません。ただ、未成年者が単独でも手続き可能な場合(例えば、18歳の場合など)には、単独で手続きをすることができます。

【代表者】の欄については、法人代表者の氏名を記載します。また、捺印が必要です。
なお、【代表者】の欄については、弁理士に依頼する場合には、記載が不要となります。

3:特許請求の範囲の記載方法

特許請求の範囲は、特許の権利範囲を決める最も重要な部分です。
特許を受けるか否かについても、特許請求の範囲の記載に基づいて行われます。つまり、審査のまな板に乗るのは、特許請求の範囲であると言えます。
そのため、特許請求の範囲の記載については、権利取得の観点と、権利行使の観点の両方が重要になってきます。
なお、審査官は、特許請求の範囲の記載に基づいて、以下の2点を中心に審査します。
・従来技術との違いが明確か(新規性・進歩性があるか)。
・発明の本質を逸脱しない範囲になっているか。例えば、特許請求の範囲の内容について、発明の目的を達成できるような具体的な内容が、発明の詳細な説明に記載されているか。

具体的な注意点としては、以下のものになります。
・発明ごとに区分して、【請求項1】~【請求項〇】のように番号をつけて記載します。
・発明の目的を達成する(発明の効果を得る)ために必要な構成をすべて記載することで、発明を具体的に特定できるように記載しなければなりません。
・不必要に、権利範囲を限定した表現にしないようにします。
・用語は、出願書類の全体を通じて統一しなければなりません。例えば「空調機」「空気調和機」など、同じものを指す用語については、複数の表現を用いてはいけません。
・登録商標については、請求項を表現する際には、使用しないようにします。どうしても使用しなければならない場合には、(登録商標)と記載しなければなりません。「万歩計」「宅急便」「セロテープ」「マジックテープ」などはいずれも登録商標ですので、記載する際には注意しなければなりません。
日本では、構成要素を~手段として記載できます。しかし、米国に出願する場合には、翻訳が必要になります。その場合、米国では、手段を翻訳すると、「means」と表現されてしまうため、~部と表現した方が良いです。
また、構成を区切る際の表現については、~を有し、備え、からなる、などをレベルに応じて使い分けます。

4:明細書の記載方法


明細書は、特許になった場合の権利公示書面としての役割と、発明の内容を世の中に公開する技術文献との役割があります。
特許出願をすることで、新たな技術内容が世の中に公開されます。特許は、このように新たな技術内容を公開した代償(ご褒美)として、与えられるものです。そのため、明細書に記載されていない内容については、特許を請求することはできません。

【発明の名称】については、明細書の最初に記載しなければなりません。こちらは、特許請求の範囲に記載する発明と整合させる必要があります。例えば、特許請求の範囲に記載する発明が、「塵取り」である場合、【発明の名称】に記載する発明についても同様に「塵取り」と表現しなければなりません。
こちらは10~20文字程度で完結に表現します。

【技術分野】については、簡潔に表現する必要があります。「本発明は、(上記【発明の名称】)に関する。」と記載すれば足りると考えてよいです。
【発明の名称】が「塵取り」である場合、【技術分野】の分野については、「本発明は、塵取りに関する」と記載します。

【背景技術】については、発明が解決しようとしている課題の前提にある公知例を記載します。複数の公知例を記載する場合には、発明に一番近いものから3例程度におさめるようにすると読みやすくなります。この欄の記載によって、発明が適用される技術範囲や製品範囲を定めることができますので、公知例の説明の末尾に技術の一般的な説明を加えるとよいでしょう。

【先行技術文献】については、【背景技術】欄で引用した文献の特許番号等を記載します。

【発明が解決しようとする課題】については、ストーリー性を意識して、発明の目的を記載します。まずは、背景技術がもつ問題点や現象について記載しましょう。ここでは、ことさらに欠点を誇張したり、数多く列挙したりするのではなく、あくまで客観的な説明を行うようにします。そして、発明の目的は、なるべく広い目的で記載するようにします。広い目的で抽象的に記載することで、権利範囲を狭めてしまう可能性を排除し、多くの製品をカバーすることができるからです。具体的な説明を加える場合には、「一例として」「例えば」等の引用を示す文言を入れることが望ましいです。

【課題を解決するための手段】については、上記【発明が解決しようとする課題】を解決するための手段を簡潔に記載します。記載方法としては、“出願しようとしている発明には解決手段が複数存在しているものの、一例として、特許請求の範囲で記載した【請求項】の内容の一つを記載する”、という形をとるとよいでしょう。
また、「課題を解決するための手段」には、特許請求の範囲よりも広く書くようにします。その理由は、特許請求の範囲よりも、狭く書いた場合、発明を限定解釈される恐れがあり、中間処理(拒絶理由)にて、権利を拡張できなくなるおそれがあるからです。

【発明の効果】については、上記【発明が解決しようとする課題】欄に記載した発明の目的に対応する効果を記載します。こちらも同様にできるだけ広い意味で記載していきます。権利範囲を限定解釈されないように、具体的な説明は、「一例として」「例えば」等の引用を示す文言を入れることが望ましいです。

【図面の簡単な説明】については、図ごとに対応する説明を簡潔に記載します。
後述する【発明を実施する形態】について記載する前に、図面を作成することが大切です。なぜなら、明細書に記載する内容は基本的には、図面の内容を説明するものだからです。
そのため、図面が存在しないと、説明する対象そのものが存在しないため、【発明を実施するための形態】について記載することが難しくなります。

図面は、発明が、機械や機構、外観に動作に特徴がある物品に関するものなら、物品の斜視図や、断面図、正面図、物品を使用した場合の状態を示す図などを作成するケースが多くなります。下記は、眼鏡の鼻あてパッドの場合の例になります。

(例1)
【図1】本発明の第1実施例の鼻あて追加用パッドを眼鏡に装着した状態を示す斜視図である。
【図2】(A)は図1の符号2Aから視た正面図、(B)は(A)の符号2B-2Bで視た断面図、(C)はユーザが眼鏡を装着したときの概念断面図である。
【図3】(A)は第2実施例の鼻あて追加用パッドを装着したときの正面図、(B)は(A)の符号3B-3Bで視た断面図、(C)はユーザが眼鏡を装着したときの概念断面図である。
【図4】(A)は第3実施例の鼻あて追加用パッドを装着したときの正面図、(B)は(A)の符号4B-4Bで視た断面図、(C)はユーザが眼鏡を装着したときの概念断面図である。
【図5】(A)は第4実施例の鼻あて追加用パッドを装着したときの正面図、(B)は(A)の符号5B-5Bで視た断面図、(C)はユーザが眼鏡を装着したときの概念断面図である。
【図6】(A)は第5実施例の鼻あて追加用パッドを装着したときの正面図、(B)は(A)の符号6B-6Bで視た断面図、(C)はユーザが眼鏡を装着したときの概念断面図である。
【図7】第6実施例の鼻あて追加用パッドを装着したときの概念断面図である。

発明が、ソフトウェアやビジネスモデルに課する場合、システム構成図(ブロック図)、システムを構成る要素の詳細構成図、フローチャート、データ構成例、必要に応じてディスプレイに表示される画面例などを作成します。下記は、システム特許の場合の例になります。
フローチャートについては、一目で見て分からないようなものは記載しないという観点が重要です。
また、フローチャートは、重複した記載をなくし、スリムに記載します。どうしても重複する部分は、サブルーチンにするなどの対応をします。

(例2)
【図1】本発明の実施例であるシステムを示す概略図である。
【図2】本発明の実施例であるシステムが有する端末の概略図である。
【図3】本発明の実施例であるシステムの全体勝利の概要を示すチャート図である。
【図4】本発明の実施例であるシステムが有する端末のクXX情報記憶部に記憶されているXX情報の例を示す図である。

【発明を実施するための形態】には、発明の目的を達成するための内容を具体的に記載しなければなりません。発明の目的(効果)を達成できることが大切になります。そのため、アニメや漫画の中に出てくる発明品のような、どうしてそのようなことが達成(例えば、頭にプロペラを取り付けるだけで空を飛べるようになるなど)できるのかが不明なものは、特許の対象外となります。

まず、【発明を実施するための形態】は、大概念→中概念→小概念の順番に発明の内容を説明していきます。例えば、発明の対象が作業機である場合、①作業機全体の構造について説明した後、②作業機を構成する回転駆動する機器については説明し、③回転駆動する機器に設けられている。バリカン刃、ソーチェーンソー、回転刃、ファンなどについて説明します。
また、【発明を実施するための形態】については、効果ごとに実施例を分けて、【実施例1】【実施例2】…と記載します。施行規則には、「発明をどのように実施するかを示す発明の実施の形態を記載し、必要があるときは、これを具体的に示した実施例を記載する」と規定されていますので、実施例は実施の形態を具体的に示したものということになります。ですから、できる限り詳細に構成や動作、効果を記載し、図面も用いて定量的に説明をするように心がけましょう。また、数年後、数十年後を見据えたときに、変形例が想定される場合には、特有の効果を付した上で、実施例を分けて記載していきます。当然のこととして考えられる技術であっても、説明を省かずにわかりやすく丁寧に記載することも重要なことです。
全体的な記載内容としては、使役(~させる)と、受動(~する)の表現の使い分けを意識します。
【発明を実施するための形態】の部分を充実した記載にすることが大切です。出願後に特許庁から拒絶理由が通知された場合、不足していた部分を後から追加することは認められません。また、出願した後に明細書の内容を変更することはほとんどできません。そのため、出願時にて、明細書の内容が充実していないと、網羅的な権利化ができなくなってしまったり、補正をして権利化できる可能性が低くなってしまいます。
また、実施形態については、現在の製品の内容だけではなく、将来的に改良する場合を想定したものまで記載することが大切です、さらに、特許後に、仮に競合が模倣する場合には、設計変更をして特許権の権利範囲を回避しようとしてきます。競合に回避されないようにするためには、予め想定される設計変更後の内容についても【発明を実施するための形態】として記載しておくことが必要です。
関連する発明については、一つの出願で複数の発明を権利化することも可能です。複数の実施形態を記載して置くことで、特許取得率を高めることができるようになります。また、より回避されにくい強い権利を取得することが可能になります。

【符号の説明】については、図面で使用した符号を記載します。

5:図面の記載方法

・線の太さについては、自船については0.4mm程度にしなければなりません。また、引き出し線については0.2mm程度にしなければなりません。そして、点線や破線について0.2mm程度にしなければなりません。
図面については、カラー表記で良いのかについて留意が必要です。一般的には、他の部分との違いを表現したい場合は、その領域をドットで表示するようにします。
また、図面は、1ページに収めることができそうな場合(ex:小さい図が2つの場合など)、できるだけ1ページに収めるようにすることが重要です。

6:要約書の作成方法

要約書は、J-Platpatなどで検索された際に、特許文献のインデックス的な役割を果たすものです。そのため、実体的な審査の対象とはなりません。また、特許の権利範囲などに影響を与えるものではありません。主な留意点としては以下になります。

・400字以内で記載しなければなりません。
・用語は、出願書類の全体を通じて統一しなければなりません。例えば「空調機」「空気調和機」など、同じものを指す用語については、複数の表現を用いてはいけません。
・登録商標については、請求項を表現する際には、使用しないようにします。どうしても使用しなければならない場合には、(登録商標)と記載しなければなりません。
・発明のポイントを表す最も適当な図を1つ選びます。また、図〇のように図面の番号を記載します。仮に、図面が不要な場合には「なし」と記載します。
・図面そのものを記入する必要はありません。

7:特許出願にかかる費用

特許庁には収入印紙や口座振替などで支払いを行います。
費用は、出願1件につき、14,000円です。明細書等及び要約書に代えて、外国語で記載した外国語書面及び外国語要約書面を添付する場合には、22,000円です。
そのほか、電子出願で可能な各種手続を書面(紙)で行う場合には、電子化するための手数料(電子化手数料)の納付が義務づけられていますので、1件につき1,200円に書面1枚につき700円を加えた額を支払う必要があります。

出願審査請求するには?

1:出願審査請求書の記載方法

出願しただけでは、特許庁に申請が受理されているだけの状態です。特許にするためには、特許庁に審査請求をしなければなりません。審査請求を行うには、出願審査請求書を提出します(特許出願の時のように複雑な書類は必要ありません。)。以下では、各項目の記載方法についてご説明します。

【書類名】      出願審査請求書
( 【提出日】      平成  年  月  日)
【あて先】      特許庁長官      殿
【出願の表示】
【出願番号】    特願20XX-XXXXXX号
【請求項の数】    ××
【請求人】
【識別番号】
【住所又は居所】  ×××××××××
【氏名又は名称】   ×××××××××
(【代表者 】)    ×××××××    ㊞

【提出日】には、審査請求書を提出する日を記入します。
【出願の表示】として、【出願番号】の欄に、審査請求をする発明の出願番号を記入します。
(出願番号は、特許を出願した後に特許庁から送られる受領書に記載されています。)
【請求項の数】の欄は、出願書類中の【特許請求の範囲】に記載した請求項数を記入します。
【請求人】として、【識別番号】の欄には、特許庁から通知される識別番号を記入します(識別番号をもっていなければ記入する必要はありません。)。
【住所又は居所】の欄には、識別番号を持っていない場合(初めて出願する場合であって、出願と同時に審査請求をする場合)に、出願人の住所を記入します。ここで記入する住所は、発明者の住所ではなく、出願人の住所を記載する点に留意します。
【氏名又は名称】の欄には、出願人の氏名又は名称を記入します。また、【請求人】が法人の場合には、【代表者】の欄に法人の代表者の氏名を記入した上で捺印が必要になります。

2:出願審査請求が可能な期間

こちらは、特許申請から3年以内に行う必要があります。3年以内に審査請求を行わない場合には、出願自体が消滅してしまいます。
早期に権利化を望む場合には、出願と同時に早期審査請求を行うケースが多いです。
なお、審査請求をしてから特許になるまでは、1年~1年半程度の期間がかかります。
また、早期審査請求をした場合であっても、特許になるまでは、4カ月~6カ月の期間がかかります。

3:出願審査請求の費用

審査請求の費用は、118,000円に請求項数×4,000円を加えた額となります。例えば、請求項数が8個の場合には、審査請求の費用は、150,000円となります。
このように、出願審査請求の費用は、請求項数に応じて増減します。この理由ですが、実際の審査の対象になるものは、特許請求の範囲に記載された発明であり、この特許請求の範囲の数によって、審査官の審査負担が異なってくるからです。
なお、従業員5名以下の小規模事業者や、個人事業主などについては、審査請求料を1/3にする軽減申請の適用を受けられる可能性があります。こちらは、適用を受けることで、例えば、150,000円だった審査請求料を50,000円にできます。
また、経営革新計画の認定を受けることで、審査請求料を半額にすることも可能になります。
最新の状況を確認するには、特許庁ホームページの特許減免制度をご覧ください。

拒絶理由通知が来た!対応方法は?

1:拒絶理由通知とは何か

審査請求をした後に、特許請求の範囲に記載された発明が特許として認定できないと審査官に判断された場合、特許庁から拒絶理由が通知されます。
拒絶理由通知というと、その響きからして、「出願そのものが拒絶されてしまった。」「もう特許は取れない。」と感じる方が多いようです。
しかし、心配はご無用です。落胆したり慌てる必要は全くありません。
なぜなら、実際に審査請求をした発明の90%以上に対して、一度は拒絶理由が通知されるものだからです。拒絶理由が通知されることなく、一発で特許になるというケースは、むしろ稀です。ですから、一般的なことと冷静に受け止めて、次のステップに進みましょう。

2:拒絶理由を理解する

拒絶理由が通知された場合にやるべきことは、まずは、拒絶理由をしっかりと読み込み、なぜ審査官がこのような認定をしているのかを理解することです。
審査官は、あくまでも、特許請求の範囲に記載された発明について審査をしています。特許請求の範囲は、広く権利を取るために、上位概念で抽象的に表現されていることが少なくありません。
拒絶理由で一番多いものは、従来技術(引用文献)との差が小さい(進歩性違反)という理由です。そのため、発明の内容を具体的に記載したり、発明の構成を追加することで、従来技術(引用文献)との差を明確化し、拒絶理由を解消できる可能性を高めることができます。

しかしながら、拒絶理由の内容は、拒絶理由に記載されている文章そのものだけを読んでいても理解できないことが少なくありません。その場合には、審査官が拒絶理由の根拠にしている引用文献の内容をしっかりと読み込むことで、審査官の認定の内容について理解を深める必要が出てきます。
引用文献のすべてを読み込むのは大変ですが、読み方のコツはあります。拒絶理由には、引用文献について、拒絶の根拠とする段落番号が記載されていますので、まずは、こちらの段落番号を参照して引用文献を読み込みこんでいくのです。
そして、引用文献に記載されている技術と、出願している発明に記載されている発明の違いを丁寧に抽出します。
大切なのは、必ず違いがあるというマインドで読み込むことと、最後まで決して諦めないことです。引用文献と出願している発明(明細書の内容)との違いを深く洞察することで、拒絶理由を解消できる可能性は高まります。
出願している発明の明細書に記載されてあるものの、引用文献に記載されていない、出願している発明特有の構成についてはチェックを入れていきます。
そして、チェックを入れた構成があることによる、引用文献にはない効果を検討していきます。

3:意見書・補正書を提出する

反論による成功率を高めるのには、「この内容で反論した場合に審査官がどう反応するか」を予測することです。たまたま拒絶理由で指摘されていないありきたりの構成を追加して反論をしても、最終的に拒絶される可能性が高いからです。
こちらは、従来技術がどの程度存在するか、また、審査官とのやり取りの経験が必要になります。
また、狭すぎる権利範囲(回避が容易)な内容で権利化しても、出願をした意義が乏しくなるため、できるだけ有効な範囲(自社および他社の実施可能性がある範囲)で権利化することが大切になります。
拒絶理由通知への対応については、様々な要素を検討することが必要になりますので、特に経験豊富な弁理士に依頼することが有効です。

特許料納付について

特許庁の審査に合格しただけでは、特許権は取得したことにならない点に、注意が必要です。特許権を維持するためには特許権の維持費の支払いが必要です。
そして、最初に、1年~3年分の特許権の維持費を支払うことで、特許権を発生させることが可能になります。
なお、特許権の維持費用は、1~3年分だけではなく、当該期間を超えて支払うことができます。例えば、1~6年分をまとめて支払うことが可能です。
特許料についても、審査請求費用と同様に、減免制度を利用して、料金が軽減又は免除される場合があります。特許庁ホームページで最新の情報を確認することをおすすめします。

Q&A

Q1.特許を取得するメリットは何でしょうか?

A1.特許を持っている中小企業の売上は、持っていない企業よりも131%以上高いというデータ(2009年中小企業白書)があります。特許は、取得することで合法的に市場を独占できる強力なビジネスツールです。
例えば、特許権を取得していない場合、せっかく開発した製品が模倣されてしまうというケースがあります。昨今、インターネットの普及によって、新しく開発した製品の内容が世の中に情報発信されやすい状況にあります。
仮に、製品を模倣された場合、模倣する側は、開発費を投資していないため、本家側の製品よりも安価に製造可能です。したがって、安い模倣製品によってシェアが奪われることになり、本家側の製品の単価も下げざるを得なくなる状況になります。
その場合、シェアを奪われ、売上個数が減少するだけでなく、単価も下がるため、利益が出ず、開発費を回収できないという状況にもなりかねません。特許を取得しておけば、模造品を市場から排除可能になり、このような状況になることを回避できるようになります。

また、特許を取得することで、顧客や取引先からの信用が高まったり、プレスリリースなどにも活用できたりと、ブランディングにも利用することができます。
社員が自社の技術に誇りを持ち、業務に対するモチベーションが向上したという事例もあります。この会社では、特許を取得する前は、「どうせうちみたいな中小企業の技術なんて・・」と社員が考えていました。しかし、特許を取得した後は、国から唯一無二の技術であることが認められたということで、「うちの会社の技術は世界で唯一のものである」と認識され、社員のモチベーションが向上したということです。

Q2.出願前に、発明の内容を他の人に話したり、販売しても問題ありませんか?

A2.出願する前に、発明の内容を守秘義務がない人に1人でも知られてしまうと、特許性(新規性)を失ってしまいます。一方、守秘義務がある人であれば、特許の内容を知られても特許性を失うということはありません。例えば、会社で新しい製品を開発した場合、社員には守秘義務がありますので、社内で製品の内容を公表したとしても特許性を失うということはありません。
外部の人間(弁理士や弁護士等以外)は、守秘義務はありませんので、知られないようにすることが大切です。
製品を具現化する際や、開発の流れの中で、どうしても、他社の力を借りなければならない場合があります。そのような場合には、秘密保持契約書を結んでおくことが大切になります。これによって、特許性を失うことを回避可能になります。
一方、販売してしまった場合には、最初に販売してから6ヵ月以内であれば、新規性喪失の例外の適用を受けるができますので、特許性を失うことを回避できます。しかし、販売した内容すべてを把握することが困難であるケースもあり、その場合には、新規性喪失の例外の適用を受けるための手続き自体が煩雑になる場合もあります。
そのため、できれば販売前に特許出願を完了しておくことが大切であるといえます。

Q3.ビジネスモデル特許とは、どのようなものなのでしょうか?

A3.ビジネスモデル特許として有名な事例を2つご紹介します。
1つ目は、アマゾンのワンクリック特許です。
こちらは、ECサイトにログインした状態で、購入したいものを選んだ後に、予め登録しおいていたユーザの住所、決算情報を呼び出すことで、ワンクリックでの買い物を可能にするものです。
2つ目は、いきなりステーキのステーキ提供システムがビジネスモデル特許として成立しています。この特許は、一旦は、特許庁の審査官から拒絶されています。拒絶理由は、「ステーキを提供する手順という人為的取り決めを示すものであり、自然法則を利用しているものではない」ということでした。しかし、「テーブル番号が記載された札」「カットした肉の重量を計量する計量機」「カットした肉を注文したお客様に運ぶ際の目印」によって、発明の目的とする見せ方にすることによって、最終的には特許として認められました。

このように、人間が処理を行うのではなく、機械(コンピュータ)や物によって実現されているということが、ビジネスモデル特許の成立の条件となります。
人間が介在してしまうと、再現性がなくなってしまうため、「産業上利用できない発明」であることを理由に拒絶されてしまいます。一方、機械や物によって実現されることで、再現性が生まれるため、ビジネスモデル特許として認められるようになるのです。

Q4.大企業とアライアンスを組みたいと考えていますが、特許を取得して欲しいと言われました。

A4.大企業とアライアンスを組むには、特許を取得することが絶対条件となることが少なくありません。例えば、ある自社製品Yを大企業の販路を活用して大量に販売したい場合には、Yの特許を取得することが、ほぼ確実に大企業側から求められます。
その理由は、大企業側が、新しく製品を販売する場合の特許リスクをゼロにしたいと考えているからです。
仮に、製品Yを販売した場合に、他社の特許権を侵害しているということになれば、法令順守との関係でも大きな問題となります。製品Yが他社の特許権を侵害していないかの調査も可能ですが、他社特許の侵害の調査は、膨大な手間と費用が掛かってしまいます。また、いくら調査をしても、100%、他社の特許権を侵害していないとの結論を出すことは不可能という実情もあります。
一方で、製品Yについての特許を取得していれば、特許庁から製品Yが唯一無二であるとのお墨付きをもらえたということになります。その場合、製品Yを独占的に実施できるのは、特許権者だけということになりますので、アライアンスを組む企業側としても、安心して製品Yを販売できるということになります。
実際に、弊所にも、「大企業とアライアンスを組むために特許を取りたい」というお問い合わせを数多く頂いております。

Q5.他社から特許権を取得していることについて警告を受けました。どうすれば良いのでしょうか?

A5.まず、本当に特許権の侵害に該当するのかについて、検討することが大切です。
特許の権利範囲は「特許請求の範囲」によって定められますが、販売している製品が、特許請求の範囲外であれば、特許権の侵害には該当しません。
また、実際に相手方の特許権が存在するのかについても確認する必要があります。相手方の管理が不十分な場合には、特許料(年金)を納付していないなどの理由によって、特許権が消滅しているという可能性もあるからです。
さらに、そもそも特許になっていないというケースもあります。警告を受けた場合には、動揺するかもしれませんが、まずは冷静になって検討することが大切です。また、必要に応じて弁護士や弁理士に相談することをお勧めいたします。